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加藤泰監督『ざ・鬼太鼓座』デジタルリマスター版 海外メディア絶賛!
林英哲氏、本作への想いを語る

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12月14日(水)、東京有楽町・日本外国特派員協会にて、第73回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門でワールドプレミア上映された「ざ・鬼太鼓座」デジタルリマスター(1981年製作、2016年デジタル化)の上映が行われました。

加藤泰監督の生誕100年を記念して、デジタルリマスターが行われた本作は、第7回東京フィルメックスにてジャパンプレミアが行われ、そして2017年1月21日よりの一般公開に先駆けてのお披露目となりました。会場には、海外でも非常に人気の高い和太鼓奏者の林英哲氏のQ&Aセッションも行われ、林氏の本作に対する想いに、質問が集中致しました。

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まずは、今回の上映で本作を観るのは3度目だという林氏は感想を求められると

「いま観ると演奏は未熟だし、若者の青春の記録のようにしかみえないかもしれません。当時はまさかこの映画が未公開になるとは思わず、必死に撮影を頑張っていました。映画が未公開になったことで、私の運命が変わりその後の人生に大きな影響を与えられたので、私にとって少しの勇気を出さなければ久しぶりにこの映画を観るという気持ちにはなれませんでした。」

と述べられました。

次に、加藤泰監督の代名詞でもあるローアングルを始めとした、演奏の場面において様々な場所にカメラが置かれていることに対してパフォーマンスに影響があったか尋ねられた林氏は、

「企画の段階では日本のミュージカル映画にしようということで出発しました。普通のミュージカル映画だと別録りした音に合わせて映像を撮りますよね。ただ、当時加藤監督からは全てのシーンでカメラが回っているところで生の演奏をしてくれと要求されました。

劇中の音は全て生録音です。

当時の私は、カットが切り替わるときに音が繋がらなくなることをとても心配しました。テンポが違ったり、次のアクションとずれが通じたり。カットがかかる度に演奏を止めて、セッティングのために1時間ぐらい待たなきゃいけない事もありました。

特にクライマックスは汗をかいて顔真っ赤にして演っているのを『はい、続きからもう一度』と言われても出来ないんです。だから、カットの続きからではなく最初から演奏して汗が出てきて顔が真っ赤になってからカメラを回してもらいました。現場は本当に大変でしたね、久しぶりに見て思い出しましたよ」。

また、当時については

「このグループは、元々音楽をするために集まったのではなくて、学生運動の延長で自由な面白い大学を佐渡ヶ島に作ろうと資金集めがスタートでした。当時美術学生だった私も積極的にやるつもりはなく、人が足りないということで入りました。この映画はそれを一切説明していないので、これだけ時代が経ってしまうと分からないと思います。大変強力なリーダーシップをとる人が代表だったから、彼に忠実に従うということだけが任務でした。」

と振り返りました。最後に当時の若者が伝統的な音楽に向かう心情を尋ねられると

「私をはじめとして、当時のメンバーたちは伝統芸能には全く興味がありませんでした。というよりは、やらざるを得なかったんです。これが大学を創るために役に立つことなんだと信じていましたから」

と、どの質問に対しても海外記者に丁寧に答えられていました。

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林英哲氏プロフィール

11年間のグループ活動後、82年太鼓独奏者として活動を開始。84年初の和太鼓ソリストとしてカーネギー・ホールにデビュー。現代音楽の分野でも前例のない和太鼓ソリストとして国際的に高い評価を得た。00年にはドイツ・ワルトビューネでベルリン・フィルと共演、2万人を超える聴衆を圧倒させた。太鼓独奏者としてロック、ジャズ、現代音楽、民族音楽などの演奏家と共演しながら、かつての日本の伝統にはなかったテクニックと体力を要する大太鼓のソロ奏法の創造、多種多様な太鼓群を用いた独自奏法の創作などジャンルを超越した、まったくオリジナルな太鼓表現を築きあげていく。演奏活動の他、イベント等でプロデューサー、映画、演劇などの音楽、創作太鼓の委嘱作品、指導も多数。97年芸術選奨文部大臣賞を受賞、01年日本文化藝術振興賞を受賞。

 

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加藤泰監督『ざ・鬼太鼓座』(英題:The Ondekoza)デジタルリマスター

2017年1月21日(土)渋谷・ユーロスペースにて
名古屋・シネマスコーレ(2月4日~)、大阪・シネ・ヌーヴォ(3月11日~)他にて順次公開

1985年の遺作で、異色のドキュメンタリーです。完成当時、試写の舞台挨拶で「生まれて始めて思う通りのことをやれた映画」と監督自身が語ったといわれる本作は、佐渡ヶ島で太鼓を鳴らし続ける芸能集団「鬼太鼓座」の若者たちを撮影し、セットとロケを含めて約2年かけて製作されました。

それから35年、加藤泰監督生誕100年の2016年、35mmネガフィルムを4K解像度でスキャンし、2Kでデジタルリマスター作業を行い、今回の上映となりました。グレーディング作業には、本作プロデューサーの田中康義氏、脚本・助監督の仲倉重郎氏、撮影助手の満井坦彦氏が監修し、製作当時の色調を再現しています。