連載「女ひとり、名画座行ってきます。 」
【神保町シアターの巻/前編】
カテゴリ:連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
あ、暑いですね…。
夏休みをとりたいと思いつつも、休んだら休んだ分だけお金が入らない世知辛い職種ゆえ、休む度胸もありません。貧乏暇なしライター、小泉なつみです。
そして暑い夏こそ、映画館です。コンクリートジャングルを分け入って、映画を観ながら涼みましょうよ!
ということで今日は、神保町シアターさんにお邪魔しています!
ぬわんですか、このCOOOLな建物は。神保町にある名画座ということで、昭和な香りがする映画館を勝手にイメージしておりました!
「うちの劇場は以前からある名画座の立て直しやリニューアルオープンでもなくて、07年にできたまったく新しい映画館なんです」
そう教えてくれたのは、神保町シアター支配人の佐藤奈穂子さん。入って右手には吉本興業が運営する「神保町花月」があり、左手が神保町シアターというユニークな形態もまた新しい…。
「今年のGWには『桂文珍セレクション~大阪と映画~』として『白い巨塔』や『悪名』をラインナップし、よしもとさんと初コラボもしました。あの、でも、実は神保町シアターは前から名画座だったわけではなくて、オープン当初は新作メインの映画館だったんです」(佐藤支配人/以下「」内同氏)
聞けば、オープン当初は運営元である小学館が携わった新作映画などを中心に上映を行い、その合間に「川本三郎編 映画の昭和雑貨店」といった独自の特集上映をしていたそう。するとその切り口のおもしろさやツウ好みのラインナップが反響を集め、結果として名画座になったという“トランスフォーム型名画座”だったのであります…!
歴史ある喫茶店や古書店が多い神保町という土地柄にマッチした特集が、多くのお客さんに支持されたんですね〜。
あえて“じゃない方”に光を当てる!
映画好きも狂喜乱舞する渾身のラインナップ
実際、取材時に開催されていた「恋する女優 芦川いづみ アンコール&リクエスト」は、ロビーに人だかりができるほどの大盛況ぶり。そして、往年の名女優「芦川いづみ」(藤竜也の奥様!)をフィーチャーする神保町シアターの目利きっぷりたるや…。
「特集名にアンコールとある通り、芦川いづみ特集はこの1年間で3回目。50〜60年代の日活映画を代表する女優さんですが、日活は男優メインの作品が多いんです。そのため人気と知名度のある『石原裕次郎特集』などで括られてしまいがちでしたが、あえてその相手役を務めた芦川いづみさんに光を当てて特集をやってみたんです。するとこちらの予想を超える大反響をいただきまして、お客さんが溢れてしまうほどでした」
「今年の春は杉村春子特集をやりましたが、きっと普通であれば小津安二郎特集だと思うんです。でもうちでは小津ではなく杉村春子、石原裕次郎ではなく芦川いづみといった感じで、ちょっとひねりをきかせるようにしているんです。
と言いつつも、8月27日からは名画座の王道ともいえる昭和の大女優・原節子特集を初めて行います。4Kデジタル修復をした『麥秋』を国内初上映するので、ぜひお越しください!」
ツウもうなる特集をバシバシ投下している神保町シアター。後編の次回は、まさかの吉川晃司、斉藤由貴、岡村靖幸が登場!?であります!
東京都千代田区神田神保町1-23
03-5281-5132
(取材・文/小泉なつみ)